生きものたちの部屋

著者:宮本輝
出版:新潮社
初版:1995.06.15.
紹介:彼の書斎には色々なものたちが住み着いている。48色のクレヨン、緑色のインク、煉瓦色の水瓶、手巻き式の腕時計、地球儀、左利きなのに右利き用のゴルフセット、古備前のぐい呑み・・・そして「自分を犬だとは思っていない犬」マック。
彼の小説はその中から生まれてくるのだ。
大晦日の書斎で、悩み苦しみ酒に溺れた母の幸せな最後を想い、母に謝罪する。
しかし、その書斎も、あの阪神大震災で失われて、今はない・・・・。
コメント:このエッセイ、ZERRYさんに紹介していただきました。
宮本輝さんの本を読んだことがないのですが、このエッセイを読んで、ちょっと読んでみたくなりました。何を読んだらいいかな?

西の魔女が死んだ

著者:梨木香歩
出版:楡出版
初版:1994.4.19.
紹介:中学生になったばかりの頃、まいは、学校に行けなくなった。学校がマイにとって「苦痛を与える場所でしかない」から・・・・。
「扱いにくい子」「生きにくいタイプの子」・・・まいは英国人のおばあちゃんの家で暮らすことになった。そこ出まいとおばあちゃんの「魔女修業」が始まった。
第一歩は「早寝早起き、食事をしっかりとり、良く運動し、規則正しい生活をする。」
多感な少女期。みんな誰しも自分のまわりの世界との関係に悩み出す頃。生きることの下手な女の子が西の魔女との関わりの中で、少しずつ気持ちをかえていく。
コメント:赤毛のアンの世界にも似た自然描写の世界で、読む人もホッと一息つけます。おばあちゃんの優しさが心にしみます。いいなこの本。小5の娘も読んだらすっかりお気に入りになりました。
最後におばあちゃんが亡くなってしまうときが悲しいです。でも、違うのかな?
「ニシノマジョカラ ヒガシノマジョヘ オバアチャンノ タマシイ ダッシュツダイセイコウ」ね?おばあちゃんはそばにいるよね。

山田詠美

著者:
出版:セイフティ・ボックス
初版:私のセイフティ・ボックスの中身は、パスポートでも、お財布でもクレジットカードでもなく、私を取りまく人間たちのような気がする。そしてその人たちがしゃべる言葉や考えたことや心の動きなどが絡み合って、貴重品を作っていくのだと思う。だからセイフティボックスの鍵はなくさないようにしなくっちゃね。(後ろ表紙より)
紹介:
コメント:山田詠美のエッセイ。ニューヨークに行ったり、南の島へ行ったり、ポンちゃんは忙しい。このころポンちゃんは新しい恋人、DCに出会うのだ。素直で正直でカワイイ(!)ポンちゃんに出会えます。

テレヴィジョン・シティ

著者:長野まゆみ
出版:河出書房新社
初版:1992.10.30.
紹介:少年はテレヴィ・スクリ-ンをみて過ごしている。「アーチィの夏休み」家族も兄弟もいない、いるのは会ったこともないパパとママと同室のイーイー。友達は?ボクはどこから来たのか?幼児期の記憶。ボクがいるのは巨大なビルディングだ。このビルのことをボクは何も知らない。どんな人がいて、どういう仕組みで・・・ボクは・・・?
「身のまわりに捨てるものがなくなったとき、最後に捨てるのはボディとスピリット・・・どちらを先に手放すか。今は誰もがそれを悩んでいる。」(本文より)
コメント:最後まで読んで何がなんだかわからなくなってきた。
どれが現実で、どれが虚構なのか?これはゲームなのか?物語の外側にいるものが見えない。
物語の中心はアナナスとイーイーの心のかかわり。何を信じればいいのか、相手の思いがわからないもどかしさ。ウーンどうもよく分かっていないみたいです。
「世界が壊れても、少年と蒼い海は残る。」・・・かな?

うさぎの本

著者:松浦寿輝  絵:米田民穂
出版:新書館
初版:1996.11.05.
紹介:ある日私のアパートの押入のなかで、年とったうさぎが古本屋を店開きしてしまった。お客は山の動物たち、かなり迷惑なのだが、なんとなく気になる。
そのうち、うさぎの店をのぞいたり・・・・そこで私は一冊の詩集を見つけた。「うさぎの詩集」。私はうさぎの爺さんと仲良くなりたいなぁと思い始めたのだった。
コメント:絵本じゃないんです。でも、表紙の「うさぎ」の愛らしいこと!!
ところどころにある挿し絵が、ホッと暖かくなり、思わず読みたくなる本です。
うさぎの爺さんが魅力的で、こんな古本屋があったら私も通ってしまいたくなるような、やさしい気持ちになりました。うちの押入にも来ないかなぁ

新学期

著者:長野まゆみ
出版:河出書房新社
初版:1995.07.20.
紹介:17才も年の離れた兄と二人で同居を始めた14才の「史生」。
新しい土地、新しい学校で待ち受けていたのは「椋」「密」と言う曰わくくありげなふたりだった。「史生」と兄との新しい生活。兄への思い。わきあがる疑問。「椋」と「密」と兄との関係。初めての環境のなかで、迷い、悩み、とまどう「史生」。
コメント:長野まゆみさんの作品ははじめてです。タイトルからちょっと違う「新学期」を予想していたのですが、時代も、言葉遣いも、少し昔に設定してあります。そのためか、全体の雰囲気がちょっと懐古的。設定が現代ならこういう話にはならないだろうなぁ・・・とおもいました。
そうそうページ付も縦書き、漢数字でこだわっている感じ。表紙の校舎がノスタルジック。

光堂

著者:赤江瀑
出版:徳間書店
初版:1991.06.30.
紹介:美しい言葉の陰に、ひそむ妖しさと妖艶さ。何とも言えない「不気味さ」をつつむ作品群。
人が心の奥底に隠し持つ記憶のかけらが、日のあたる場所に出てこることによって、その「不気味さ」がいっそう光を放つ。
「美酒の満月」「逢魔が時の犀」「ようよう庭の幻術」「青毛」「雛の世あらし」「夜市」「光堂」「艶かしい坂」「青き鬼恋うる山」
コメント:あるMLのなかで初めて名前を目にした「赤江瀑」図書館でその名前にひかれ手に取った初めての一冊です。
「雛の世あらし」は不思議な感じで面白かった。

フリーク・ショウ

著者:山田詠美
出版:角川文庫
初版:1993.01.25.
紹介:やばくて、いんちきで、なんにもならなかったけど、絶対に必要だったあの時代。もちろん私には「あの頃はよかった」なんてくだらないことをいう趣味はないけれど、あの瞬間のことは、多分、必読書になり得るはず。文学なんかをちっとも必要としない、ボーイズ アンド ガールズが私は大好きだった。(あとがきより)
恋を失うのは決して初めてではない。そして、また巡り会う恋を素直に見つめるパーティフリークスに捧げる、たまらなく素敵な恋愛小説!(裏表紙より)
コメント:山田詠美の世界は、もちろん私の住む世界とまったく違うのだけど、彼女のハートの部分が好きなのです。とくにこの本がステキ!という訳じゃないけど、短編集でありながらちょっとだけ登場人物が重なり合っていることで、山田詠美の「あの時代」が見えてくるような気がします。結構楽しめます。

放課後の音符

著者:山田詠美
出版:新潮社
初版:1989.10.10.
紹介:カナ・17才半分大人になりかけた女の子の不安と期待。今の現実にどっぷり浸かっても、背伸びをしすぎても、上手く行かないもの。
”わたし”にならなければ、恋も友だちを愛することもできない。
コメント:「トラッシュ」で山田詠美のファンになったのは今の私だけど、「放課後の音符」も女の子の心が良く描かれていて気に入りました。
10代の女の子たちがこの本を読んで山田詠美のファンになるのは納得!!
表紙もとてもきれい。娘たちにも読んで欲しいんだけど、まだちょっとはやいかなぁ・・・・。

マジック・アップル まほうのりんご(絵本)

著者:レイナー・サセックス  絵:ディヴィッド・ハイアム 訳:城田あい子 城田安幸
出版:成星出版
初版:1998.06.30.
紹介:ポッターさんの庭のリンゴの木に大きなリンゴが実った。
それは、リンゴをかじった人の願い事がかなう「まほうのりんご」。
悪い村長さんはリンゴをひとり占め・・・・?まほうのリンゴはどうなるか?
コメント:娘YUYUが借りた本です。この本はリンゴジュースの絞りかすと古紙が原料で出来ている「リンゴの紙」で出来ているんですって!
そのせいかな、ちょっとツブツブの模様が入って、リンゴジュースの色?
森や林の木にやさしい本なんですって。
お話もとっても優しくって、絵も楽しい。あったかい気持ちになれる本かな?