著者:市川拓司
出版:小学館
初版:2004.11.01.
紹介:花梨・祐司そしてぼく
人と関わることが苦手で、ひとりでいることが好きだった僕。13歳の春、僕らは出会った。ゴミの山が僕らの隠れ家だった。三人と一匹トラッシュといる時間はかけがえのない大切な時間だった。しかし、その時間は永遠に続くことはなかった。
大人になった僕の前に現れたモデル鈴音。アクアプランツの店・水の森「トラッシュ」に不似合いなアルバイト店員夏目。それぞれが、自分の大切なものを抱えて集まる。
途切れたはずの思い出が再びつながろうとしている時、再び別れが…。夢の底にあるもうひとつの世界で会うのは誰なのか…。
コメント:予約待ちすること5ヶ月余り。なんで、この本を予約したのかさえ忘れていた一冊。
裏表紙をめくって納得「いま、会いに行きます」の作者が書いた本だった。ちなみに「いま、会いにゆきます」は未だに予約待ち。
著者:桐野夏生
出版:文藝春秋
初版:2005.01.30.
紹介:桐野夏生氏デビュー12年目にして初のエッセイ集。
Ⅰショートコラム Ⅱ日記(直木賞受賞前後 他) Ⅲエッセイ
Ⅳ書評・映画評 Ⅴショートストーリー Ⅵ白蛇教異端審問
コメント:軽い気持ちで「エッセイ集ね~」などと読み始めると間違いかもしれない。
プロの作家として、言葉・作品との取り組み姿勢がひしひしと伝わってくる。
主婦の片手間に小説を書いているとは思っていなかったが、本のほとんどを
図書館で借りてくる私としては、印税問題など・・・ちょっと心苦しい点もある。
物書きにとっての作品は、作家の身を削って書かれ生み出されてくるものなのだと改めて感じた。
このエッセイ集は興味深く読んだが、中でもⅣ書評・映画評心に留まりました。
著者:貴志祐介
出版:角川書店
初版:2004.04.20.
紹介:介護会社の社長が昼寝の最中に殺された。何重もの防犯システム・密室となった社長室の犯人は?動機は?
被疑者の弁護人と防犯グッズ会社の社長が組んで、被疑者の無実を証明しようとする。考えられるあらゆる限りの方法を試してみるが…。
会社や役員をめぐる様々な人間模様。単なる殺人事件か?巧妙な手口、疑わしいものがあちこちに隠されている。真の殺人者の動機と手段は?
コメント:しばらく見かけないと思ったら「青の炎」から4年以上たっていたらしい。
子どもにとって、自分が当たり前のように思っていた生活がある日突然奪い去られ、自身の身も危険にさらされるとした 轣Hどうやっていきたらいいのか?
著者:石田衣良
出版:文藝春秋
初版:2004.12.09.
紹介:ネットの海で知り合った4人は、それぞれ生きにくい問題を抱えていた。
吃音・潔癖症・突然のフリーズなど・・・
しかし、4人が一緒にいることで、お互いの足りないところをカバーできる。
さらに、ハッカー・ひきこもりだった法律家・格闘家という、3人の仲間を得て、
彼ら「アキハバラ@DEEP」 はAIを使った新しいサーチエンジンを開発する。
狭い秋葉原の古ぼけた部屋で「クルーク」は生まれた。画期的なソフトを狙って、
大手企業が買収にかかろうとする。僕たちの「クルーク」を守れ!
コメント:オタクの町として有名になった秋葉原。その片隅で、集まる仲間。1人の力は小さくても
集まれば、大きな力になる。読んでいて、なかなかワクワクする話しだった。
個性的なメンバーがまるでパズルのピースの一つ一つみたいだ。きっとどこかにいるべき場所が見つかる。
著者:東野圭吾
出版:集英社
初版:2004.01.30.
紹介:阪神大震災は多くの人の命を奪い、それぞれの人生を狂わせた。
そのどさくさに紛れて行った殺人。現場に居合わせた女。しかしそのことが男の人生を変えた。
二人に未来はあるのか。
コメント:女の怖さを、ひしひしと感じます。ラストがまたショック!
著者:夢野久作
出版:角川文庫
初版:1976.10.10.
紹介:「ドグラ・マグラ」は、昭和10年1月、1500枚の書き下ろし作品として、松柏館書店から自費出版された。
〈日本一幻魔怪奇の本格探偵小説〉〈日本探偵小説界の最高峰〉〈幻怪、妖麗、グロテスク、エロティシズムの極〉と歌った
宣伝文句は読書界の大きな話題を呼んだが、常人の頭では考えられぬ、余りに奇抜な内容のため、毀誉褒貶が相半ばし
今日にいたるも変わらない。
〈これを書くために生きてきた〉と著者みずから語り、10年余年の歳月をかけた推敲によって完成された内容は
、狂人の書いた推理小説という、異常な状況設定の中に、著者の思想、知識を集大成する。
これを読む者は、一度は精神に異常をきたすと伝えられる、一大奇書。
(表紙扉より引用)
コメント:精神科病棟で目覚めた自分は何者であるのか?
失われた記憶を取り戻す手がかりは、ある殺人事件に関する膨大な資料だった。
読んでいくうちに、いま自分が読んでいるものが一体なんだったのか?
それすら混沌として分からなくなってしまう。壮大な計画の下に仕組まれた研究なのか?
誰が正常で、誰が狂人で、実際のところ誰が犯人で…
よくもまあ、10年もかけてこんなものを書き上げたものだ。
「読んだぞ!」という満足感だけは確かにある。
著者:藤本ひとみ
出版:中央公論新社
初版:2005.03.25.
紹介:完璧な家庭・家族の幸せを最優先に生きてきた詩織。しかし、現実には自分勝手な夫と、わがままな娘たち。誰一人詩織の努力に報いることなく、そこに詩織が思い描いていた暖かな家庭はなかった。
どこで間違ってしまったんだろう?久しぶりの同窓会をきっかけに、家族のために自分を犠牲にすることをやめ、自分自身を生きようと思い立つ。
エステに行き自分を見つめ。美しくなることでまわりが変わってゆく・・・しかし、思わぬところで子供たちの反乱にぶつかる。
「もっと何かが欲しい!平凡なままでは満たされない。
夢を現実にしようとして、反乱を起こした一人の女性。その変身の行方をリアルに描く問題作。」(帯カバーより引用)
コメント:ここまで極端で完璧ではなくても、主婦ならなんとなく、家族のために自分を犠牲にしているという感じを持って生活しているのではないだろうか。こんなふうにできたらいいかなぁ・・・と思ってみても、フランス語ができるわけでもないし、まあそうそういい女に大変身して劇的に生活が変わるなんていうのはやっぱりお話の中だけだ。
藤本ひとみの歴史ものも面白くてステキだけど、コバルト時代からつながる、平凡な女性主人公のまわりに、なぜか魅力的な男性がたくさん出てくるって言う話は、私的には好きだわ。
著者:山田忍著 長尾佳子解説
出版:東京 NCコミュニケーションズ
初版:2002.07.
紹介:痴呆の症状はお世話の仕方や接し方によってずいぶん変わり得るのです。痴呆性高齢者の家族のための介護者教室で実際に出された質問や感想、意見を取り上げ、それに答える形でどのように介護したらよいかの手がかりを示します。
コメント:どれもこれも、痴呆対応の初心者には勉強になることばかり、なかなか、書いてある通りに、うまくはできなくても、心の持ちようで、お互いの関係がずいぶん違ってくる。お勧めです。
著者:山田忍編 かみさぎデイホーム著
出版:東京 NCコミュニケーションズ
初版:2003.05.
紹介:デイホームってどこにあるの? どんなことをしているの? 実際に痴呆性高齢者が日常生活しているデイホームでの状況を具体的にわかりやすく紹介した、施設からのメッセージ。
コメント:読んでいると、どれもこれも当てはまることばかり、どこかで見ていたんじゃない?と思うようなこことがいっぱい。
ああ、ジジは異常なのじゃなくて、立派な、見本のような「痴呆」症状なのだと、読んで安心してしまう本。いろんなことが参考になります。
著者:乃南アサ
出版:新潮文庫
初版:2003.12.01
紹介:貴子が目を覚ますと、廃屋に監禁され、鎖で手足を縛られていた。一方、行方不明の貴子を救出するため特殊班が編成され、かつて彼女と組んだ滝沢刑事も加わる。やがて犯人らの巧妙な現金奪取計画があきらかになり、貴子も犯人の中の女性を説得し、懸命に本部との連絡を試みる。が、特殊班はなかなか潜伏先に辿り着けない。ついに貴子の気力・体力も限界に─。傑作『凍える牙』の続編!
コメント:先の見えない事件。手がかりを一つ一つ当たっていく・・・予想もしないところで、犯人のてに落ちる女性刑事音道。囚われの身になって初めて受ける暴力。刑事として頭で考えていたことと。極限状態に置かれた精神の歪みの間で、迷い押しつぶされそうになる。
刑事としてではなく、一人の人間・女としての自分に直面する貴子が痛々しい。けれど、強い刑事としての音道も、一人の女としての貴子もとても魅力的だ。