キスまでの距離(おいしいコーヒーのいれ方1)

著者:村山由佳
出版:集英社文庫
初版:1999.06.25.
紹介:高校3年になる春、父の転勤のため、いとこ姉弟と同居するはめになった勝利。そんな彼を驚かせたのは、久しぶりに会う5歳年上のかれんの美しい変貌ぶりだった。しかも彼女は、彼の高校の新任美術教師。同じ屋根の下で暮らすうち、勝利はかれんの秘密を知り、その悲しい想いに気づいてしまう。守ってあげたい! いつしか一人の女性としてかれんを意識しはじめる勝利。ピュアで真摯な恋の行方は・・・。(表紙裏より引用)
コメント:そもそも、場面の設定が、あり得ない感じだもんなぁ。
同居している女の子を好きになっちゃうのはいいとしても、ちょっとロマンチックすぎない?いやぁ・・・これくらいの距離感がいいのかな。どんなもんでしょ?

BAD KIDS(海を抱く)

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:1999.07.10.
紹介:海のようにやさしい、海のように激しい、18歳の愛と性の真実。
同性のチームメイトを激しく想う隆之、18歳。年上の写真家との関係に傷つく都、18歳。それぞれの悩みを共有しながら、ピュアな性を疾走する、みずみずしい青春。
コメント:ラブストーリー・・・・ぽくないな。少しずつ死へ近づいていく父親に反発しながらも、その中に自分に似たものを感じている、光秀。表面的には「いい子」を演じ続ける恵理は自分の中に、得体の知れない性を見つけてしまった。恋も愛もなく心が存在しない、体だけの関係・・・憎み、さげすみ、罵りあい自分をおとしめる事で、ギリギリの自分を支えている。お互いの心を話すこと・・・。「優しくする」こと。やっぱりこれはラブストーリー。

青のフェルマータ

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:1995.11.30.
紹介:南の珊瑚礁の海で、せつなく、ほろ苦く、激しい大人の恋が生まれた!
南太平洋にイルカとチェロの旋律が響く。夢の中に言葉を置き忘れてしまった里緒、人生に一度サヨナラしたあの人・・・トラウマを持つ人々が織りなすイノセントな恋愛小説。
コメント:自分の言葉が両親の関係を壊滅的にしてしまった。親から自分の存在自体を否定されてしまった、里緒は声を失うことによって、自分の思いを人に伝えることを拒否している。彼女の声が戻るのは、本当に伝えたいことが出来たとき・・。

天使の卵

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:1994.01.25.
紹介:19歳の予備校生・歩太と8歳年上の精神科医・春妃。
春まだ浅き日の予感に満ちた出会いから、せつなく、ひたむきな純愛。
コメント:「天使の卵」はちょうど、姫の高校がある街が舞台で、多分主人公が卒業した高校も同じ設定のような気がして、ちょっと親近感が湧いたのでした。19歳の芸大志望の浪人生の恋のお話です。すごく切ない・・・。辛い・・・。

スカーレット・ウィザード 5

著者:茅田砂胡
出版:中央公論新社
初版:2001.04.06.
紹介:おまえ本当に優しい男だな、海賊。
巨大なクーアの権力にもなんの興味もなかったくせに
おまえは私につきあってくれた
だから───だからもう終わりにしよう
最重要課題であるダニエル救出作戦は
ジンジャー主演で華々しく開幕し・・・・・・そして
ラブロマンスも終幕を迎える
スカーレット・ウィザード最終巻(裏表紙より引用)
コメント:えー!最終巻!?というのが正直な感想です。
だって、まだまだ続きそうだったのに・・・
ジャスミンとケリーの一番最初の出会いがここに明かされる。
ウーン、やっぱりロマンチックかも?

希望の国のエクソダス

著者:村上龍
出版:文藝春秋
初版:2000.10.20.
紹介:「2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた!」
経済の大停滞が続く日本で彼らはネットビジネスを開始、円圏を巡るアジア通貨危機では、情報戦略を駆使して意外な結末をもたらす。その後、全世界の注目の中で、彼らのエクソダス(脱出)が始まった───
現代について考えるとき、もっとも暗澹とした気持ちになるのが教育とメディアの現状です。コミュニケーション・信頼が基盤になる教育とメディアが機能不全を起こしている現実をどうとらえるのか?金融・経済・教育・ネットコミュニケーションに関する約3年に及ぶ取材が全てこの作品に生かされています。現代を巡る絶望と希望を書き尽くす、と言う動機でこの小説を書き続けました。その成否は読者の判断に委ねようと思いますが、この物語を書き終えたときの言いようのない充実感と不安感は、24年間小説を書き続けてきて初めて味わうものでした。村上龍(帯より引用)
コメント:多分、読みが浅いのだろう。経済・社会情勢の部分を読み流してしまったため、というかその部分が何となく惹かれなかったので、途中中だるみしてしまった。
中学生がネットビジネスを始め、さらに日本から経済的に「独立」して行く様は、本当に近未来的にありそうだと、不安な気分にもなる。しかし、恐るべき中学生。

不自由な心

著者:白石一文
出版:角川書店
初版:2001.01.30.
紹介:野島と付き合っている恵理が、こんど昔の男と結婚するという。事の真偽は?不倫の上に、移動の辞令。単身赴任を選択した妻。野島が選択する未来は?(天気雨)
膵臓ガンの義父を看病する妻。しかし彼女は若い頃付き合っていた男のもとへ行ってしまう。そう、考えてみれば、彼女を一時預かっていただけなのだ。(卵の夢)
福岡出張、昔付き合っていた女と会った、帰りの飛行機に搭乗する瞬間彼の脳裏に走った不安は・・・死ぬ間際に思うのは・・・(夢の空)
癌の宣告を受けた。そのときを待っていたような気がする。仕事を整理し、半年間の残された時間を自分のために費やすことにした。彼がたどった足取り、追憶。残された家族の姿は。(水の年輪)
妹の亭主が不倫をして、別れるという。愛した記憶の化石、すでに失われたものを清算して、次の生活を始めることは悪いことなのか。自分の中でも、答えが見えない。(不自由な心)
コメント:どれもこれも、「不倫」の話なのだ。形骸化してしまった、愛のかけらもない家族。それでも続けられる結婚生活とは?家族ではなく、不倫に逃げ込む、不倫の中で生きる男の姿は、身勝手なのか、それとも、形骸化した家庭生活を続ける方が、偽善なのか。
同世代の妻の立場からすると、どうもすんなり納得のいくお話ではないのでした。

夢でなければ

著者:マルク・レヴィ
出版:早川書房
初版:2001.01.31.
紹介:ゴールデンゲート・ブリッジを望むサンフランシスコのアパートに移り住んだ建築家の青年アーサーは、入浴中クロゼットから歌声がするのを聞いた。クロゼットを開けると、そこには若い女性がいた。驚くアーサーにその女性は説明した。彼女の名はローレン。病院の研修医で、この部屋の住人だったが、自動車事故を起こして、自分の「本体」は病院で数ヶ月前から昏睡状態にあるという。つまり、いまここにいるのは、「本体」から抜け出た幽霊だというのだ。たしかにローレンの姿はアーサー以外の誰にも見えず、声も聞こえなかった。やがてローレンの話を信じるようになったアーサーは、彼女を救いたいと考え始める。だが、そんな彼に難問が。ローレンが安楽死させられることになったのだ。アーサーは周到な計画を立てて彼女の「本体」を病院から盗み出すことに成功、子供時代を過ごした田舎の家に隠れることになった。そこで一緒に暮らすうちに、ふたりの間にいつしか愛が芽生えてきた。だが、この奇妙な状態がいつまで続くか保証はなかった。しかも、警察が捜査をす・め、ふたりのもとに迫っていた・・・。(表紙扉より引用)
コメント:これね、そのうち映画になるみたいな気がする。
交通事故で植物状態になってしまった女性の遊離した「幽霊」と恋をしてしまうお話です。これ、なかなか良かったです。

恋するために生まれた

著者:江國香織 辻仁成
出版:幻冬舎
初版:2001.06.01.
紹介:大人になって、本当に良かったって思う。
大人じゃないと恋が出来ないから。  江國
恋が愛に変わっても、恋のような愛をしていたい。  辻(表紙扉より引用)
コメント:恋と愛の違いって、何かしら?なかなか大人の恋の話はおもしろい。
うーん、私って恋したことあったかしら?って言う感じになりましたが(笑)
「恋をするなら冬の打ち上げ花火のような激しくも刹那に満ちたこいがよいですし、愛ならば無償の愛が良い。(辻)」
束縛と嫉妬。「私以外の人を見ないでね」馬鹿者のようにいえるのが恋愛のすばらしさ。束縛は、するものでなく、されるもの。
「誰かの女」であることを自覚することは、束縛されていることであり、でも肯定的な意味で言えば、「その人の腕の中にいる」ということ。
「私はこの人に恋するために生まれた」だって、そう思いたいじゃない・・(江國)

黄昏の岸 暁の天 下 (十二国記)

著者:小野不由美
出版:講談社X文庫
初版:2001.05.15.
紹介:鳴蝕。山が震え、大地が揺れ世界が歪み、泰麒は、十の年までを過ごした蓬莱にいた。
帰りたい───。しかし、その術を知らない。
泰麒が異界でひとり懊悩する頃、戴国には謀反によって偽王が立ち、日ごと荒れていた。その行く末を案じ、泰台輔と同じ胎果である誼の陽子を頼り、慶国を目指した李斎は思う。麒麟がいなければ、真の王はあり得ない、と。
そしていま、雁国をはじめとする諸国の王と麒麟が、戴国のために立ち上がる!(表紙扉より引用)
コメント:久々の十二国記シリーズ。馴染みのない単語に、しばしとまどうがすぐにその世界へ入り込めてしまう。上下を読み終わって、まだ先が続いている。
麒麟はどうにか連れ戻すことが出来たが、これから戴は、どうなっていくのか?
続編が、とても気になります。