なぜ、人を殺してはいけないのですか?

著者:ヒュー・ブラウン
出版:幻冬舎
初版:2001.02.10.
紹介:1957年、北アイルランド・ベルファスト生まれ。15歳でIRAに対抗する過激テロ組織UVFのメンバーとなる。報復拉致され、両ヒザをを打ち抜かれるが、銀行強盗、爆弾テロ闘争等に参加。60人のメンバーを率いるリーダーとなる。
18歳で密告により逮捕、政治犯として懲役6年の実刑判決。20歳の時刑務所内で神にい目覚め、死を覚悟してテロ組織と決別する。出獄後神学校に入学、宣教師の道を志す。1985年、来日。神戸の教会で宣教活動をはじめる。自らの体験をもとに、不良少年の更生や少年院・刑務所での講演など地道な活動を続け、非暴力と平和の大切さを訴えてきた。
現在、妻と4人の子供をアイルランドに残し、単身赴任中。日本をこよなく愛し、納豆とサッカーが大好き。週に3日は、事務でウェイトトレーニングに汗を流す。(表紙扉より作者紹介を引用)
コメント:「人間は変われる」彼が伝えたかったのは、このことなんじゃないだろうか。
この本は、多くの迷える子羊たちに、今自分の立つ、足元の大地をきちんと踏みしめる事が出来ない人に、救いの手をさしのべている。

Close to You

著者:柴田よしき
出版:文藝春秋
初版:2001.10.31.
紹介:共働き・お互いの生活を尊重する夫婦。夫の失脚・退職・・
職探しの日々の中で、自分が働かなくても家庭にはなんの不都合も起こらないと言う事への、ショック・・・
ある日妻が言った「あなた、このまま専業主夫になってくれない?」
自宅マンション周辺で起こる小さな事件や、さまざまな噂。今まで知ろうともしなかった人間関係に否応なく巻き込まれていく。
コメント:家事なんて、要するに掃除と飯の支度だけじゃないか。呑気に昼寝してワイドショーを見ているだけで、何も考えていないと言う低脳・・・
専業主婦のイメージって、こんなもんかなぁ?と、専業主婦の私は思ってしまったのです。ウーム。
まあムキになって反論する気はないけど、けっこう面白かったですよ。

太陽待ち

著者:辻仁成
出版:文藝春秋社
初版:2001.10.15.
紹介:あの日の太陽に会えればきっと繋がる・・・。時空を超え、圧倒的なグルーヴ感をもって展開する、新しい文学の冒険。
日中戦争・原爆投下直前の広島・そして新世紀を迎えた現在。
時と場所を超えて、つながれたそれぞれの愛のかたち。
人生の終焉を迎えつつあるひとりの男が、壮大な映画製作の中で描くのは、忘れる事の出来ない愛。とぎれがちな意識の中で待ち続けるのは、あの時と同じ太陽。
銃で撃たれて植物人間となった、二郎の記憶が、子供の頃の記憶と、満州・広島・南新宿を交錯する。テンガロンハットの男からあずかったランドセルの中に入っているものは?
コメント:時間と場所を追おうとすると、混乱する。作者が言いたいのは何なのか?テーマは?
戦争という非日常の中における、特異な愛のかたちなのか?それとも、過去が現在につながって、未来に続く永遠を手に入れることなのか。
過去の記憶を忘れることが出来ない人間達が、生き続けるための、それぞれのあがきなのか?ウーン、難しい。
智子「私、これからもずっと二郎をもって生きていく。それでもいい?」
四郎「持って生きようよ。それが残された者の役目だ」
記憶を、思い出を消し去ることは出来ない。

千里眼

著者:松岡圭祐
出版:小学館
初版:1999.06.10.
紹介:小雨のそぼ降る朝、茨城の山中の寺が突如爆発、炎上した。同じ日、千葉木更津付近の路上から、富津の東京湾観音へとタクシーに乗り込んだ不審な少女が───。観音像の足下で、その少女が力無く倒れたとき、ポケットから爆発事故ともつながる一冊の書物が転がり落ちる。カウンセラー・岬美由紀は少女の危機を予感し救済に立ち上がるが、その先には想像を絶するスケールの複雑な罠が仕掛けられていた・・・・・・。(裏表紙より引用)
コメント:新興宗教,テロ、自衛隊・・・
何だか9月のテロ事件を思い出してしまった。
元自衛隊のパイロット、今は心理学のカウンセラー
岬美由紀はかっこいい。

DIVE !! 3─SSスペシャル’99

著者:森絵都
出版:講談社
初版:2001.07.20.
紹介:知季、飛沫に続き要一が今度の主人公。
オリンピック代表に内定した背景には、競技や選考委員会とは全く無関係な大人達の力が加わっていた。プレッシャーと欺瞞の中で、純粋に本当のオリンピック代表権を勝ち取るために、要一が提案した条件とは・・・
他人に踊らされるのではなくて、自分自身でつかみ取る。それが要一にとってのオリンピックだ。
コメント:3巻で完結と思いきや、まだ続くのですね。
各巻で、それぞれ異なる主人公の視点から見た「飛び込み」。飛び込みへの思いは
それぞれが違うのだけど、同じものを追いかけていく、彼らの中で、あるものは成功を収めるかもしれないし、またあるものは、挫折を味わい・・・
だけど、その中で自分にとっての「飛び込み」の意味を見つけていく。

101回目のプロポーズ

著者:野島伸司
出版:角川文庫
初版:1992.10.25.
紹介:建設会社の万年係長、星野達郎、42さい。心情は暖かいが、欲がなく男前にも恵まれず、目下、お見合いに99連敗中。回数を重ねるにつれ相手のレベルも落ちる一方である。99回目の絶望の一週間後、達郎のもとに新たなお見合い話が持ち込まれた。百回目の相手である矢吹薫は、長い髪、白い肌をした和服の似合う美人チェロ奏者で、達郎にとってそれは、思ってもみない嬉しい誤算であった。しかし彼女は、結婚式の当日、新郎を交通事故で亡くすという決して癒されることのない深い心の痛手を負っていた。最愛の人を失った女の言い尽くせない悲しみと、いつも愛が吹き抜けていった男の一途な情熱を哀感豊かに描いた不滅の純愛ストーリー。
(裏表紙より引用)
コメント:見ていませんでしたが、テレビドラマになっていましたね。
「50年後の君を、今と変わらず愛してる」これがプロポーズの言葉なんでしたね。ウーン、見せかけでない真実の愛を見つけるのは、難しいのだろうな。

怪しい人びと

著者:東野圭吾
出版:光文社
初版:1994.02.28.
紹介:・自分の部屋を友達の情事のために貸し出すアルバイトをはじめた。ある日部屋に帰ってみると見ず知らずの女が寝ていた。彼女はなぜ、部屋に居座っているのか?(寝ていた女)
・老婆の家に強盗に入った男が、逃げ込んだ家は記憶の中から消えない名前だった。男が人生を踏み外したそのとき、その名前はカレの記憶に刻み込まれた。高校野球、あの審判のコールが男の人生を変えたのだ。(もう一度コールしてくれ)
・朝、自動販売機コーナーに行くと、そこに倒れていたのは、仕事熱心な係長だった。(死んだら働けない)
・クリスマスの朝、娘は一酸化炭素中毒で死んだ。消したはずのストーブ、継ぎ足された灯油・・頭に浮かんだ疑念は、やがて確信に変わり・・・(甘いはずなのに)
・相手を引き立てるための自分が、「いい関係」になったのは、18歳のあの旅の後からだ。。ひとり旅・・・そこで出会った灯台守の正体を知りつつ、一晩の宿を紹介した。その晩・・・(灯台にて)
・友達から送られてきた「結婚報告」に同封されていた写真は、友達とは全くの別人だった(結婚報告)
・バカンスで訪れた、コスタリカで僕らは強盗に襲われてしまった・・・(コスタリカの雨は冷たい)
コメント:「小説宝石」に掲載された作品を集めた短編集。
(死んだから働けない)は何ともやるせない気持ちになるなぁ。
(灯台にて)も、まあ面白いです。

覆面作家の愛の歌

著者:北村薫
出版:角川書店
初版:1995.9.30.
紹介:覆面作家シリーズ
ケーキ職人の義父が「修行」と称して山にこもったまま家に帰らない・・・
その真の理由は?
晴れた日に、可愛い男の子を待ち伏せする不審な男の正体は?
舞台の女優が、家で殺された、しかし容疑者と思われる男にはアリバイがあったのだ。
ひとりの女性をめぐる愛と舞台、殺人者が書いたシナリオは?
事件をはさみ千秋さんとリョースケの距離も微妙に近づいたか?
コメント:北村薫お得意の、ちょっとした人間の心の隙間に隠れた秘密をヒントに事件が解き明かされていく。「覆面作家のお茶の会」は、事件といえない事件だけど、人の心の温かさが伝わってくる。

覆面作家は二人いる

著者:北村薫
出版:角川書店
初版:1991.11.30.
紹介:クリスマス間近の冬、春、そして麦わら帽子の夏。
それぞれの季節の中で起きた三つの事件。
日常世界に潜む謎を、千秋さんは鮮やかに解き明かしてみせた。
お嬢様名探偵誕生。引用
コメント:家にいるときは、深窓のお嬢様。門を一歩出た途端に、口調も行動も180度変わる、まるで二重人格?!(笑)
ここに登場する、編集者の《岡部リョースケ》も、実は双子の兄がいる。
ってまあ、そんなありそうもない登場人物が主人公な訳だが、それはそれで楽しいから良しとしよう。
世間知らずのお嬢様に、こんな理解ある、優しい「岡部さん」がいたらいいなぁ・・・
と、お話の本筋とは離れたところで、思ってしまいました。
まあ、気楽に読める一冊です。

R.P.G

著者:宮部みゆき
出版:集英社文庫
初版:2001.08.25.
紹介:ネット上の疑似家族の「お父さん」が刺殺された。その3日前に絞殺された女性と遺留品が共通している。合同捜査の過程で、「模倣犯」の武上刑事と「クロスファイア」の石津刑事が再会し、2つの事件の謎に迫る。家族の絆とは、癒しなのか?呪縛なのか?舞台劇のように、時間と空間を限定した長編現代ミステリー。宮部みゆきが初めて挑んだ文庫書き下ろし。(裏表紙より引用)
コメント:「模倣犯」を読みながら、つい気になって買ってしまった本。
「R.P.G」というと、思い浮かべるのはゲームであるが
(ロールプレイング)は巻頭の説明を引用すると
「実際の場面を想定し、さまざまな役割を演じさせて、問題の解決法を会得させる学習法。役割実演法。」とある。
ネット上のハンドルネームによる架空の家族ごっこの他にここで演じられているのは・・・鮮やかな舞台に思わずしてやられた・・・(笑)
「模倣犯」を長編大河ドラマだとすれば、「R.P.G」は、単発の日曜劇場(ちょっと古いか・・・)いずれにしても、楽しめることに違いはない。